柚子胡椒
・ 柚子胡椒
スーパーで柚子を見つけましたので、早速買いました。毎年、柚子ごしょうを作るのが我が家の年中行事。博多では唐辛子のことを「こしょう」と呼びます。灰色のいわゆるコショウは「洋ゴショウ」と言って使い分けています。
こしょうは夏の頃、青いうちにフードプロセッサーですりつぶしておきます。腐敗防止の塩と焼酎を加えます。青臭みと苦みが気になる方は少し乾燥させた方がいいみたいです。柚子が出る冬頃まで冷凍庫で保存しておくのですが、うちのじいさまはビンに詰めた後、たっぷりの塩でふたをしていました。やはり腐敗防止の知恵なんでしょうねえ。
さて柚子は皮を使います。下ろし金ですり下ろすのがポピュラーですが、私は面倒くさがり屋ですのでフードプロセッサーを使います。丁寧に皮をむいて、白い綿毛もできるだけ取っておきましょう。
フードプロセッサーで粉々にしたら、保存しておいたこしょうを混ぜあわせます。時間が許すならすり鉢で丹念にあたるとなめらかに仕上がります。使い切れない分は、小分けにして冷凍庫で保存するといいですよ。すり下ろしたニンニクを加えるなど、オリジナル柚子ごしょうを作るのも楽しいです。
残った柚子の実は、絞ってポン酢を作ります。「ポンズ」は元々オランダ語で柑橘の絞り汁のこと。柚子で作ったポン酢は酸味が柔らかで、香りがいいですね。
我が家では醤油と絞り汁を同量に、みりんを好みで、全体の5分の1くらい混ぜたものに昆布と鰹節を漬け込んで丸一日置いておきます。漉せばできあがり。ダイダイでもカボスでも同じ作り方をしています。
できてすぐでも香りが立って美味しいですけど、長く寝かせれば酸味がまろやかになって一層美味しいです。ダシを入れたり酒を加えたりといろいろな作り方があるみたいですので、是非オリジナルを工夫してください。
柚子ごしょうとポン酢がそろったら、夕食はやっぱり「水炊き」で&しょう。
水炊きと書きますが、鶏のスープで煮るのが博多流。鶏ガラで取ったスープに鶏肉を入れてアクを取り、まずスープを飲みます。味付けは塩と博多万能ネギ。それから鶏肉をいただきます。野菜は後から。 最後は雑炊で締めますが、そのとき残ったポン酢をちょっと味付けに鍋に入れるとまたおいしいです。市販でスープも売っていますので最近では簡単に作れるようになりました。
鍋物には白菜が良く合いますが、博多の水炊きにはキャベツを使います。白菜の水分で鍋が水っぽくなるのを嫌った博多っ子の味わいです。そういえば、もつ鍋にもキャベツを入れますね。
世界中には様々なお酒がありますが、椀物など汁ものに合わせることができるお酒は日本酒だけだと言われております。
スープと合わせるとほとんどのお酒は水っぽくなって味わいが消えてしまうのですが、日本酒はスープ料理の旨味と調和するので違和感なく合わせることができるのです。
鍋物と合わせるなら、純米酒や本醸造酒がお勧め。お燗酒でいただきましょう。
ふくよかな香りとコクのある味わい、またしっかりした酒質が特徴ですので、味噌味、塩味、醤油味、ポン酢味といった鍋料理のバリエーションにしっかりとついていきます。
(平成21年12月)
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